過ぎしS45年の大阪万博。この万博のテーマソングといえば、S42年に発売された、「こんにちは~こんにちは~♪」でおなじみの「世界の国からこんにちは」です。テレビなどでよく聞く音源は三波春夫が歌唱したものですが、実はそれ以外の歌手によるものも発売されていました。
同じ曲を、複数のレコード会社が、それぞれが所属している歌手に歌わせて、同時に発売することを競作と呼びます。誰かが発売した曲を、別の歌手が歌い発売する「カバー」とは異なります。まさに、「世界の国からこんにちは」は競作で、複数のレコード会社から同時期に発売されました。キングからは人気コーラスグループのボニージャックス、コロムビアからは弘田三枝子、ビクターからは吉永小百合、東芝からは坂本九、グラモフォンからは叶修二、クラウンからは西郷輝彦・倍賞美津子、ミノルフォンからは山本リンダ、そしてテイチクからは三波春夫が歌ったものが発売されました。個人的にはキング盤が好きです(ボニージャックスが好きなので…)。
競作という手法は戦前から行われました。有名なものでいうと、戦時歌謡の「愛国行進曲」。10社以上の会社から発売されていることが確認されており、国民の愛国心の高揚に貢献しました。
競作は、強力なプロパガンダとして用いられることの多い手法です。また、売り上げを競うため、レコード各社の熱量が伺えます。いろんな人が歌う「世界の国からこんにちは」。みなさんも好きな盤を見つけてみては?